聖書学習の忘備録
1章
へブル人への手紙
1. はじめに
成立と著者
「へブル人への手紙」は、そのギリシア語の流麗さによって、新約聖書中もっとも文学的な書であるといわれる。
2世紀のキリスト教神学者テルトリアヌスが、本書を「へブル人への手紙」と呼んで以来、そのように称するようになった。
著者は不詳であるが、おそらくパウロ書簡がまとめられたあとの95年ごろに執筆されたと考えられている。
第11章では多くの旧約聖書中の人物に触れていることから、著者は旧約聖書に精通している人物であったろう。
他のパウロ書簡の序文とは異なり、著者に関する情報が何もない。思想そのものはパウロに近いが、文体や用法などは明らかに違う。また「へブル人への手紙」の著者が他者からキリストの教えを受け取ったと語っているが、パウロはイエス自身から福音を受けたことを強調している。
へブル人への手紙の目的
初代教会に存在したエビオン派という、ユダヤ教の習慣をすべて維持したままキリスト教徒になった人々に対する批判として書かれたと考えられる。
そのためパウロのキリスト論を繰り返し引用し、福音はモーセの律法を更新するものでなく、完成させるものであり、新しい契約が古い契約にとって変わったということを強調している。
また、レビ族の祭司職はキリストの祭司職の予型であり、ユダヤ教の贖いの捧げものきキリストの十字架の予型であると述べている。
へブル人への手紙の構成
二つの異なる要素の記述が相互に組み合わされて構成されている。
1) 神学・教義について
1:11-14、2:5-18、5:1-14、6:13-9:28、13:18-25
2) 倫理・道徳について
2:1-4、3:1-4:16、6:1-12、10:1-13:17
(2020/07/27)
へブル人への手紙注解
へブル人への手紙 1章
へブル人への手紙 2章
へブル人への手紙 3章
へブル人への手紙 4章
へブル人への手紙 5章
へブル人への手紙 6章
へブル人への手紙 7章
へブル人への手紙 8章
へブル人への手紙 9章
へブル人への手紙 10章
へブル人への手紙 11章
へブル人への手紙 12章
へブル人への手紙 13章