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ペテロの第二の手紙

1. はじめに

成立と著者
ペテロが死を目前にした状況で書いたという体裁になっている(2ペテロ1:14)。殉教直前だとすると66年末もしくは67年初頭と考えられるが、実際の著者がペトロかどうかには議論がある。むしろペトロの名を借りて別人が執筆したとする説の方が有力である。その場合、成立は2世紀前半であろうと見なされている。

以下が別人が執筆したとする主な根拠となっている。
・手紙の文体が、「ペテロの第一の手紙」と異なり、ヘレニズム的な要素が用語や概念に強く反映されている。
・福音書に描かれているペトロの性格が率直であるのに対し、それに似つかわしくない勿体ぶった文体である。

それに対し、ペテロ本人が書いたとする以下の反論がある。
ガリラヤの漁師であったペトロにこのようなヘレニズム色の強い書簡を書けたはずがないという批判については、
・旧約聖書のギリシア語訳(七十人訳聖書)から影響を受けた。
・交通の要衝でもあったガリラヤならばヘレニズム思想に触れる機会があった。
・イエス昇天後の各地での伝道において、その地の人々の用語を習得した。
文体の違いについては、
・シルワノに口述させた「ペテロの第一の手紙」と異なり、「ペテロの第二の手紙」は自身で直接書いた。
・別の筆記者を間に挟んだ。

ペテロの第二の手紙の目的
手紙には明瞭な宛先がなく、キリスト教徒全般に向けられている。
キリストの再臨を嘲笑する人々を批判し、信仰を堅く守り、正しく生きるように勧めるものであったと言われている。
ペテロの第一の手紙では、外から来る圧迫に対して、「心の武装」(1ペテロ 4:1)をするようにと指示した。 第二の手紙を書いた時には、外からの苦しみ以上に、自分たちの仲間から、 偽の教え、人々を堕落せしめる教えを持ち込まれることを警告している。そのための備えとして、神とキリストを知ることにより霊的に成長するようにと教えている。
ペテロの第二の手紙の構成
1) 1:1-2 あいさつ
2) 1:3-11 キリストを知る者へのすばらしい約束とその実現の道
3) 1:12-21 キリストの威光の目撃者の証言と勧め
4) 2:1-22 主を否定するにせ教師たちの出現に関する警告
5) 3:1-18 主の来臨を待ち望む者の生き方

(2019/11/24)

ペテロの第二の手紙注解
ペテロの第二の手紙 1章(2020/12/20)
ペテロの第二の手紙 2章(2021/01/03)
ペテロの第二の手紙 3章(2021/01/04)